この約1年半について

下の子を産んだのが2015年10月。妻である私が仕事に復帰したのは、半年経った2016年4月である。

 

その頃、同じ課内で一人だけ英語がほとんど聞き取れなかった夫の一番の苦痛は、海外とのテレビ会議であった。課長なので出ないわけにはいかない、でも出てもずっと頷いているだけ。そんなことに嫌気がさした&将来のためを思った夫は英語のeラーニングの中級に応募した。初級についてはすでに完了していたので中級への応募である。

記憶は定かではないが、たしか夏から秋にかけて、夫は家で早朝と夜、勉強することになった。いわば、2人の育児と仕事と家事を基本一人で担うことになったのである。

 

誤算があった。家から徒歩5分の職場と、職場から徒歩5分の保育園というとても狭い三角形の中で行きていた私だが、職場復帰2日目GW明け直後から、職場は50分の場所に移動した。つまり出産前に予定していた1日のスケジュールに、誤算が2時間近く発生したのである。

 

そして更に悪いことに、2人目は四六時中抱っこを必要とする、抱っこしないとずっと大号泣しているタイプだったのだ。

 

そんな問題児を抱えて、8割くらい職場から隣のターミナル駅までタクシーで帰らないとお迎えに間に合わないみたい、金曜日の商談に取引先からタクシー飛ばして、夜中〜次の日の午前中まで掛かって手書きの書類をPDFにして土曜日の午前中に指示書を送らないと納期が間に合わない!みたいな非生産的な働き方をして、仕事をして家事をして一人で寝かしつけて、という日々を3ヶ月送った頃、さすがの私も仕事に限界を感じていた。

 

女性が多い職業にも関わらず、同じ部署内で産休を取るのが私が初めてという特殊な環境で、2人目を産んで戻るくらい執着していた仕事だけれど、これから先の見通しが立たない、そしてつまらない、人間関係が嫌だ(ありがちありがち)ということで、ある朝スターバックスで、ロジカルに考えて、辞める決心をした。数日前に専門学校の同級生との飲み会でも相談していたのだが、なんというか同じ業界内で、今の職種じゃなくて別の職種につきたくなったのである。

 

そこで夫に、私今日やっと辞める決心をしました。これから勉強したいので、派遣で働きながら勉強する時間を下さい。とお願いしたところ、快諾された。夫から見ても私の働き方と職場の環境はアホらしく見えていたのだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー以上、前置きーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ところがここから急展開。1週間後に、夫から朝来ていたメールを確認したのは、夕方であった。転勤が決まった!と。しかも海外。

 

やっと英語の3ヶ月が終わったー!と思っていたのに、夫に更に半年の英語研修が命じられた。3ヶ月国内、3ヶ月海外。嬉しいと同時に目眩がした。

 

夫も私も、そして会社の人たちも、英語が分からない夫が海外転勤候補になるとは全く思っていなかっただろう。本人にとってはかなりよい知らせだと思う。私も前日まで自分に海外に住む可能性があるなんて1mmも考えたこともなかった。

 

そして前よりハードな早朝と深夜までに及ぶ英語の勉強がスタートした。私は早めに辞めようと思っていた仕事を辞められなくなり、今まで以上にキツイ生活を強いられた。なぜなら、海外転勤が確定したわけではなく、ほぼ確定という宙ぶらりんな状態だったから、保育園を辞めるわけにはいかなかったのだ。12月中旬までの合宿を含むキツイ生活のあと、1月に夫はアメリカの語学研修へと旅立った。

 

夫が旅立つ日、私は悲壮な顔つきをしていた。とんでもないモンスターの下の子を含む子供2人を抱え、引き継ぎがあるため1月末まで辞められない状態で、どこに行くにも3人で行動し、夜中にトイレに立っても号泣する下の子のお世話をしながら仕事をした。そして1月には2人ともインフルエンザにかかり、金曜日に発症したおかげでまるまる10日間を3人だけで過ごすことになったのである。食事と衛生を保つだけで精一杯だった。インフルエンザの子供2人を抱えて買い物に行って、作ってもほぼ口をつけずに捨てるご飯を30回ほど作った後、限界を迎えたので、初めてコンビニのラーメンをあげてみた。一杯食べてくれてなんか笑えた。

 

1月末に退職し、2月はある公的な手続きのために役所をかけずりまわった。私は3月と4月は派遣で働いていた。それは日本帰国後のため、特殊な職業だった前職とは違う、一般的な事務職とはどんなものかというのをリサーチするための職場見学みたいなものであった。

 

その後、まぁ色々またあったんだけど、3月末に夫のNY転勤が決まった。とりあえず生活環境は整っていそうということで、青空の下一安心しながら自転車を走らせたのを覚えている。

 

まだ見ぬ海外引っ越しの準備というモンスターを目の前にして・・・